株式市場の荒波にほんろうされていませんか? 25年のファンドマネジャー経験から導かれる長期投資視点で、景気の波を乗り切る投資戦略をお伝えします。
株で資産形成:景気悪化をどう乗り切るかが鍵
株式への投資は、長期的な資産形成に不可欠です。ただし、昨年8月「令和のブラックマンデー」の急落・急騰、そして今まさに起こっている「トランプ関税ショック」の急落・急騰を見れば分かる通り、株式投資の欠点は、とんでもない乱高下を繰り返すことです。
急落・急騰を繰り返す日経平均の株価週足:2024年1月4日~2025年5月21日

景気が減速・悪化する時に、日経平均株価は大きく下がります。日経平均のボラティリティ(1標準偏差で変動する値幅)は20%くらいで、日経平均インデックスファンドを買って景気後退局面に当たれば20~30%くらい下げます。景気が悪化しなくても、さまざまなショックによって10~20%下げることは、よくあります。
全財産を突っ込んで過剰なリスクを取った時、いきなり20%も値下がりしたら大変です。そうならないように、きちんとやらなければならないのが「リスク管理」です。
日経平均(2012年末=100として指数化)の動き:2012年末~2025年5月(21日)

トランプ関税ショックで、これから世界景気がどうなってしまうのか、分からなくなってきました。世界不況が起こってしまうか、あるいは不況は回避できるか、トランプ大統領の次の一手が予測不能なため、景気見通しも難しくなっています。
こんな時、景気の先行き予想に依存して高いリスクを取るのは問題です。景気先行きのコンセンサス予想はしばしば外れます。誰も予想しないタイミングで世界景気が急に回復することも、誰も予想しないタイミングで世界景気が急に悪化することも、あります。
現に2020年のコロナショックは誰も予想できませんでしたし、その直後の世界景気急回復も予想できた人はほとんどいません。
景気予想は当たらないことを前提に、いつ急に世界景気が悪化しても良いように、適切にリスク管理すべきです。世界不況は回避できそうと思われていますが、急に流れが変わるリスクはいつでもあります。
というと、不安があるので、今のうちにさっさと株を売ってしまおうと思う人もいるかもしれません。そこにも落とし穴があります。
リスク管理とは、「常に適正なリスクを取り続ける」ことです。過度に大きな投資リスクを取るべきでないと同時に、「リスクを取らな過ぎる」のも問題です。リスクを心配し過ぎて株を全て売り払った後に、世界景気が好調に推移して世界の株式が大きく上昇することもあります。
世界景気好調が続いても、急に不況になっても、どちらでも問題ないように、適切なポジション管理が必要です。株価下落局面で致命的なダメージを受けず、株価上昇局面の恩恵を「人並みに」受けることができるような投資ポジションを、常に保有し続けるのが妥当です。
三菱UFJ・INPEX・パーク24、景気の波を乗り切る「景気1サイクル投資」のススメ(窪田真之)
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